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糖尿病の合併症
内科医師 山口 美幸

6人に1人は糖尿病!?
 

 糖尿病は、膵臓で作られるインスリン(血糖値を下げるホルモン)の働きが不足するために血糖値が高くなり、その結果多くの合併症をもたらす病気です。
 2003年の厚生労働省糖尿病実態調査によると、日本の糖尿病患者数は740万人、糖尿病予備軍は880万人、あわせて1,620万人で、40歳以上の成人のうち6.3人に一人は糖尿病ということになり、年々増加し続けています。しかし、この中で糖尿病の治療を受けている人は半分以下で、放置している人が多いのが現状です。
 糖尿病と診断された時点では自覚症状のない人が多いため、治療を受けずに放置されていることが多いようです。しかし、高血糖状態が続いた場合には症状がなくても合併症は徐々に進行しているのです。

糖尿病の合併症
    糖尿病の合併症には、大血管合併症と細小血管合併症があります。細小血管合併症には腎症・網膜症・神経障害があり、糖尿病の人に特徴的に見られる合併症であるため糖尿病の三大合併症と呼ばれています。

大血管合併症(動脈硬化症)
    動脈硬化が進行することによって起こる合併症には、脳卒中・虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)・末梢動脈閉塞(特に下肢)があります。特に脳卒中や心筋梗塞を起こした場合は命に関わることも少なくありません。糖尿病の人では、これらの合併症の発症率は糖尿病のない人と比べると3〜6倍高くなると言われています。
 動脈硬化の危険因子には、糖尿病の他に喫煙・家族歴・高血圧・肥満・高脂血症などがあります。糖尿病の治療だけでなく、これらの危険因子を取り除くことが動脈硬化の予防につながります。 

細小血管合併症(三大合併症)
   @糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)
 初期の糖尿病網膜症は症状に乏しく、失明して初めて気がつかれることも少なくありません。年間4,000人以上の人が糖尿病網膜症のため失明しており、成人の失明原因の第1位となっています。糖尿病と診断されたら定期的に眼科を受診し眼底検査を受けて下さい。

A糖尿病腎症(とうにょうびょうじんしょう)
 糖尿病性腎症が原因で透析導入される患者さんは年々増加しています。年間1万人以上の方が糖尿病性腎症が原因で透析導入されており、1998年以降は新規人工透析導入患者の原因疾患の第1位となっています。腎症も進行するまで症状が出ないことが多いため、定期的な検査が必要です。

B糖尿病性神経障害(とうにょうびょうせいしんけしょうがい)
 手足の末梢神経が障害されると、手足のしびれ・疼痛が出現します。また、自律神経障害により立ちくらみ(起立性低血圧)・汗の異常・下痢や便秘・排尿障害・勃起障害など様々な症状を来たすことがあります。神経障害が進行すると、無痛性心筋梗塞・無自覚性低血糖(低血糖症状が出ない)・壊疽による下肢切断・突然死など重篤な合併症につながる可能性があります。

 糖尿病の治療の目的は、合併症を予防することです。血糖をうまくコントロールすることで合併症を防ぎ健康的な生活を送ることができます。
  健康診断などで血糖値が高いと言われたことがあるけれど放置している方、以前糖尿病で治療を受けていたけれど途中で中断してしまった方、口渇・多飲・多尿・体重減少など糖尿病を疑う症状のある方は、ぜひ一度当院を受診し検査を受けて下さい。
 
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